よく、関東が「切り餅」「角餅」、関西が「丸餅」と言われますが、どこの地域がその境界ですか?
元々お餅は、お供えした鏡餅の形からきた丸餅で召し上がっていました。従って、文化・歴史の古い地域は丸餅という事になります。「切り餅」「角餅」は江戸時代になって「のし餅」が誕生し、それを包丁で切って調理するようになったものです。その境界線は、新潟・糸魚川―金沢―関ヶ原―三重―和歌山・南紀 と言われています。
ただし、美味しいもち米の収穫できる地域では、伝統的に餅つきを良く行って集落全体で食べる風習の名残で、東日本・北日本でも、切り餅よりまる餅をいただく地域があります。北海道の名寄、秋田の本荘、山形の庄内などいくつもあります。餅つきをすれば、そのまま手で絞って丸く餅をちぎり、そのまま汁粉や雑煮にしたり、きな粉や餡をつけて食べますので、まる餅が自然な形として受け入れられています。
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お雑煮は、「すまし」か「味噌」か、どちらが多いですか?
これも、地域によって違いますが、「切り餅」文化の地域はすましです。「まる餅」文化の地域は両方あります。関西は白味噌が多いですが、江戸時代に関東からお殿様が来られた地域ではすましも根づきました。お正月一日目が「白味噌」、二日目が「すまし」という様に両方召し上がる地域もよくあります。
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生後1歳の誕生日に、子供に背負って歩いてもらう「一升餅(いっしょうもち)」がありますが、実際の重さは何キロが正しいですか?
「1升」=「1.8リットル」=「1.8kg」とほとんどの方が理解されていて、この場合も「1.8kg」のお餅なのか、「1.8kg」のお米から作ったお餅なのかという考え方があります。しかし、そもそも「1.8kg」という考え方が間違っています。
なぜなら「升」は重さではなく、体積の単位だからです。
ここでお米に関する単位の整理をしておきます。
小さいほうから「合」(ごう)「升」(しょう)「斗」(と)「俵」(たわら)
「石」(こく)です。10合=1升=水で約1.8リトルの体積です。10升=1斗で、4斗=1俵(60kg玄米)です。
ここで初めて重さが出てきますが、日本の米の荷姿の単位はこの「俵」が基本です。この60kgから逆算しますと「1斗」=15kg、「1升」=1.5kgとなり、この玄米1.5kgからお餅を作ると(いったん、精米して1.32kgになり、それから水分を含んで)約1.8kgになります。
「升」でお餅そのものを量ることはできませんので、もし「一升餅」という言葉の意味を考えるのであれば「1升マスで量れる玄米分量」で作ったお餅と考えるのが妥当でしょう。昔は不自由なく重量が量れたかどうかは疑問ですし、桝ですくったお
米で作業したと考えるのが自然です。この結果として1.8kgの重量のお餅が出来上がるのであって、それが元々の一升桝に入る水・酒の重量とたまたま同じであったと考えられます。
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なぜ神社や家の上棟式などおめでたい行事に餅をまいたり投げたりするのですか?
お餅は本来、神様が召し上がる食べ物でした。そしてお米やお酒と共に神様への最も重要な神饌(お供え物)であり、その神霊の宿ったお餅をお下がりとしていただくことで「お祝い」をしつつ、関係(ご縁)のある人々に神聖な力が授かりより「健康」になれるという意味合いがありました。また、新しい年を迎えたり無事に家が建てられたりすることは神様のお蔭であると「感謝」する気持ちとこれからの前途の「幸福・繁栄」を祈念するという意味合いから、餅つきを行ってそのお餅を神様にお供えし、そして配る(まく・投げる)という日本伝統の行事・イベントになったということです。
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餅まき(餅投げ)をしたいのですが、市販されている1キロなどの袋入りのお餅を買ってその中のお餅をまいたり配っても構いませんか?
お餅が個包装されていないお餅であれば(食品表示の)法令上は問題ありません。搗きたてのお餅なども大丈夫です。しかしながら、そのまま食べても問題無いのかなど衛生上の問題が生じます。また、個包装の無地袋あるいは賞味期限のみが印字されているものを1個ずつばらまくのは法令違反です。包装された食品(袋に入った食品)を配布する場合、必ず定められた表示が必要となりますので、表示をしないままでの餅まき等の配布はできません。
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