代表メッセージ

稲作文明

日本の文明で最も誇れるものと言いますと、皆様は何を連想されますでしょうか?自動車やハイテク製品など先端産業で世界をリードしてきたのも事実ですが、島国でありながら豊饒な食文化を培ってきた歴史にも目を向けないといけないのではないでしょうか。即ち「稲作文明」こそ世界に誇れる素晴らしいものであると考えます。毎年作っても地力が衰えず一粒のお米が万倍に増える驚くべき穀物、お米。飢えとの戦いから解放され同じ土地での「定住生活」を可能にしました。各地に多くの生活共同体(村)が自立し、長きにわたり日本の国を支える礎となりました。そしてこの稲作のために培われたといっても良い治水・植林・測量・気象・暦など、自然と対峙せず共生するための技術や知恵の伝承が行われてきました。

稲作文化

また一方、この稲作文明は、素晴らしい「稲作文化」「米文化」を伝え育みました。多くの行事・風習が、稲作の農繁期・農閑期のいくつかの節目の時期の、夜も明るい満月の日やその前後の日に各地域で行われてきました。元々、古代日本では満月の夜を毎月の始まり(一日)としていましたが、その後、大陸から暦が輸入され十五日が満月という方式に変わったため、今も一日や十四日、十五日に祭や行事が多いのはその名残です。

お米が中心

お米は常に日本人の生活の糧・中心であり精神的な支柱でもありました。そして神聖な食べ物として尊ばれてきました。特にお米で作るおもちやお団子は「ハレ」の食べ物(特別な格付けの行事にいただく食べ物)として、お正月や節供(節句)を始めお祝い事には欠かせない存在でした。お正月にお供えした丸いおもち(鏡もち)をいただく(鏡開きをする)ことで、家族皆に神聖な力が与えられ健やかに一年を過ごせると信じられ、その伝統・風習は今もなお根強く残っています。

感謝の心

最近は「感謝する」ことが少なくなった時代でもあります。「衣食足りて礼節を知る」という中国の故事がありますが、今の日本はどうでしょうか。「平和ボケの日本人」と揶揄されることも多いですが、必要な感度が鈍っているということはないでしょうか。その意味で古来より、もち米を搗(つ)いておもちにしたり、お米を粉にしてお団子にしてお供えする、その後お下がりとしていただくという風習の中に、お米や共生する自然や環境への強い畏敬と感謝が前提としてあったことを私たちは忘れてはいけないと思います。

お米と日本の未来

当社のおもちや白玉粉・上新粉などの商品には、特別栽培(減農薬・減化学肥料)に取り組まれている水田のお米を契約栽培し原料に使用しているものがあります。
美味しいのは勿論のこと、それ以前に安全・安心を確保し、日本の美しい田園風景や風土を少しでも守っていきたいという思いで、環境に優しいお米を少しでも多く購入するべく努力しています。
そもそも農薬や化学肥料の発明・使用は水田農業の長い歴史の中のたったこの百年ほどのことです。しかも一部の化学肥料では製造時に化石燃料が使用されており、そのこと自体も問題なのではないでしょうか。
そのこともあり、私たちは まず日本国内のお米であり、出来れば特別栽培に取り組まれる農家のお米を増やしたい、というポリシーで原料米の選定・購入に取り組んでいます。
海外に供給の軸足を移した食材・食品が溢れていますが、可能な限りの日本の食料自給率の向上が必要です。
当社の製品を少しでも増やすことが日本の国のプラスになる、日本の未来を支えることになるという気持ちで生き生きと仕事に取り組んでいます。

温故知新

当社のおもち・白玉粉は昔ながらの製法をかたくなに守りながら、最上の「美味しさ」を実現できる工場で生産しています。
当社の国内産もち米100%のおもちは、食塩注)1 や保存料・添加物を一切使用せず、製造工程のクリーン化によって長期常温保存を実現しています。お米を蒸す工程は、蒸篭(せいろ)で蒸すように水洗いしたもち米に蒸気を吹きかけておこわにします。また、おもちにする時は杵で搗く製法をそのまま機械化し、じっくりと搗きあげています。製造の都度、玄米を自社精米しますので臭みがないお米本来のうま味の残った味わいのあるおもちになります。つまり当社のおもちは「滑らかな生地だが、コシもありよく伸びるという物性」と「米本来の風味が生きたふくよかな味わい」という、美味しいおもちに不可欠な要素を持ち合わせています。

美味しさの追求

もちつきをして食べるおもちは確かに美味しいものです。このおもちに負けないような美味しいおもちをいつでも召し上がってもらえることを願い美味しさを追及しています。美味しいおもちを作るために必要なことは全てやるという気概で取り組んでいます。
このおもちだけでなく当社の白玉粉・もち粉も美味しいとよくお褒めをいただきます。
おもちで使用している精米工程は、白玉粉・もち粉と共通です。このことこそが当社の特長であり、鮮度と風味にとことんこだわる当社の強みになっています。

日本の誇り「米文化」を世界へ、未来へ

20世紀の日本は目覚ましい経済・産業発展、そしてその崩壊で終わりました。公害も克服しましたが新たな環境への取り組みが始まっています。21世紀は環境の世紀とも共生の世紀とも言われていますが、我々はかつての日本の姿を今、改めて評価し見直す必要があるのではないでしょうか?
今から数百年前、島国で鎖国というある意味では「閉鎖循環型社会」を長期間、維持した日本という国は、さながら今日の話題になる地球の縮図でもあります。「稲作文明」がその継続のための大きな要素として物心両面で機能してきたことは紛れもない事実でしょう。そんなことを考えますと、お米、おもち、白玉団子などには日本人の知恵や日本の心とも言うべき感謝してもしきれない強大な魅力《愛》が溢れていることに気づかされます。この素晴らしい食文化を国内はもとより海外に広めていくこと、そして間違いなく後世に伝えていくこと、・・・このことが当社にとって大きな価値ある使命だと感じております。

2021年7月24日
前原製粉株式会社 代表取締役 前原 啓作

注)1 原料が「もち米」のみの製品では食塩は使用しておりませんが、もち米以外に大豆など米以外の副材料を使用している2製品(豆もち・かき餅)につきましては、食味向上および保存性向上のため食塩を使用しております。

前原製粉イメージソング

イメージソング 心からありがとう